後編

(ハール王様)
アダモとコポポの
大冒険!!
to EUREKA
王様のなぞなぞは
はたして解けたのでしょうか?

王様のなぞなぞは
はたして解けたのでしょうか?

<おやおや、なんだかおもしろそうなリスさんたちですね。>
<楽隊登場>

ラッパに太鼓に、ギターです。

バイオリンと、フルートですかね。ラッパさんは五匹の真ん中です。
楽隊:皆さん、王様の、お出ましだよ。
ポンポン王国の王様の、お出ましだよ。
ハール王のお出ましだよ。


ハール王:
やあ皆さん。約束の刻限です。
なぞなぞの答えは見つかりましたかな。「いつも違うのに、いつも同じもの」ってなあに?

カーリー妃:
ハイハイ、あなたのなぞなぞなど簡単でしたわ。
王:
おや、そうかね、で、答えは?
カーリー妃:
ずばり、わたくし自身でございますわ。
王:
なんとまあ!?で、そのこころは?
カーリー妃:
毎日のドレスは違っても、きている私の美しさは同じですもの。
王:
なーるほど、確かに、毎日ドレスをとっかえひっかえしているが 、そなたのみばえは変わらんのう。ハッハ!

アダモ:
はっはっは、なかなかうまいぞ、王様。

コポポ:
しいッ。しつれいですよ、アダモ!
カーリー妃:
なんです?王様、違いますの?
これ以外に、答えなんかありゃしませんよ。
リンシー、何とかおっしゃい。あなたも答える権利があるのですよ。

リンシー:
私は、・・きっと間違っているとは思いますが、・・
王:
ああ、リンシー、ぜひ、かしこいお前の答えが聞きたい。
リンシー:
では、申し上げます。水、ではないかと。
王:
水?さて、そのこころは?
リンシー:
水は氷になったり、雨や、雪や、雲になったりします。
でも、元はみな,水なのではないでしょうか。
王:
ああ、リンシー、さすがじゃ。「いつも違うのに、いつも同じもの」。確かに。 素晴らしい、気に入った。
カーリー妃:
では王様、リンシーを後継ぎにしてくだいますか?
王:
まあ、待ちなさい、まだシャインの答えをきいとらん。
シャイン、どうだ。お前は何か考えついたか?
なければ、リンシーに決まってしまうが。

シャイン:
それなら、それで結構です。
リンシー:
とんでもありません、兄上こそ王にふさわしい方、
わたくしなど及びもつきません。
カーリー妃:
リンシー、お前は欲がない子だねえ。
王:
シャイン、どうじゃ、なにも考えつかんのか。
<シャイン王子、突然、目に涙があふれだしました。何があったのでしょう?>
コポポ:
シャイン王子、どうしちゃったのかなあ?
アダモ:
しーっ!

ハール王:
(何度もうなづいて)そうか、そうか、わかってくれたんだね。
思い出したんだね。わしはうれしい。さあ、みんな、
シャインの答えを聞いてやってくれ。

シャイン:
答えは月です。お月さまです。父が、いや、王様が、
母と三人でお月見したときに教えてくれたことです。
毎日、月は形を変える。満月から、半月へ、そして三日月へ。
そしてまた半月になって、満月になる。でも、実はどの月も同じで、
きねをもったウサギが毎日毎日モチをついているのだ、と。
王:
そうじゃ、なつかしいな。よく思い出してくれたシャイン。
わしは、母を亡くして悲しんでいるお前の気持ちを察せずに、
さっさと結婚しちまった。
すまなかった、許せ。

カーリー妃:
でも王様。これじゃ、この謎、リンシーには不公平ですわ。
私たちにわかるはずもありませんもの。
王:
すまん。わしはシャインが思い出してくれるかどうか知りたかっただけなのだ。
あの楽しかった思い出を・・。
国は平和が何よりじゃ。争っておさまるものではない。
シャイン:
モチをつく月のウサギは私とリンシーです。
父上、二人で協力して国を治めます。
王:
うん、よく言った。それでこそ王子。リンシー、どうじゃな。

リンシー:
兄上と協力させていただけるとは、これ以上うれしいことはありません、王様。
王:
よく言った。うれしいぞ、リンシー。
ああ、病気も治ってしまいそうなくらいうれしいぞ。
お妃、どうじゃな、こんなうれしいことはあるまい。
カーリー妃:
はい、王様にはまいりましたわ。私の考えが狭かったようですね。

コポポ:
やったね、アダモおじさん。

アダモ:
ああ、感動しちゃったよ。家族っていいもんだな。(クスン)
コポポ、オレたちも旅を続けなきゃな。お前の母さんを探しにな。
コポポ:
そうだね。そうだ、ハレルヤ、ハレルヤだよ、アダモおじさん。
アダモ:
ああ、そうだ。感謝しなきゃな。ハレルヤ、ハレルヤ、
そしてアーメン。
そうだ、王様、私のなぞなぞの答えを聞いてくれませんか。

王:
おや、なんでしょう。ぜひ、聞かせてください。
アダモ:
私の答えは、夢、ですよ。毎晩、見る夢は違いますが、
皆、夢のまた夢。 現実ではありません。
みな夢であることには変わりはないのです。
王:
あなた、詩人ですね。ステキな答えです。
<二人はまた旅に出ます。ポンポン王国、さようなら!!>
<峠道を上っていきます>
アダモ:
なかなかきついなこの山は。
コポポ:
もうすぐ峠のはずだよ。がんばろう、アダモ。
<空がきゅうに暗くなりました。大変です、雪が降ってきました。>

コポポ:
おじさん、吹雪になっちゃったね。前が見えないよ。
アダモ:
コポポ、オレから離れるなよ、こんなところで死んじまっちゃ、つまらねえ。
コポポ:
おじさん、なに握ってんの!それ、私のしっぽでしょ!
アダモ:
あ、お前のしっぽか。悪かった。
なんかフワフワしてあったかそうだったもんで、つい。
コポポ:
セクハラで訴えるから。
アダモ:
とにかく、どこかへ避難しなくっちゃ。
どこかいい岩陰でもあればな・・・。
<二人とも歩けず木の根元で休んでいます>

コポポ:
おじさん、ぼく眠い。ひどく眠いんだ。

アダモ:
バカ、寝たら死んでしまうぞ。かしてみろ。(コポポの手を取る)
マッサージしてやるからな、大丈夫、血の流れがよくなれば、また歩けるからな。
コポポ:
ぼくもう歩きたくない。疲れちゃったよ。
アダモ:
何言ってるんだ。お母さんに会いたいんだろう。
ここまで来て泣き言を言うな。
コポポ:
でも、母さん、いるのかな。会えるのかな。
なんかおじさんの声が遠くなってきたんだけど‥
アダモ:
バカ、会えるに決まってる。オレがついてるだろ。
まだ死ぬのは早いぞ。
<アダモおじさん、コポポの顔をぺろぺろなめだしました>
コポポ:
あ、お母さん。お母さん、きてくれたんだね。
アダモ:
こいつ、おれだ、しっかりしろ。
コポポ:
なんだ、おじさんか。どおりで臭いと思ったよ。
アダモ:
なんだと?もっとなめてやろうか。(ペロペロ)
コポポ:
やめてよ、気持ち悪いよ。わかったよ。おきるよ。もうやめて・・
<と言いつつも、コポポの目が閉じてしまう>
アダモ:
寝るな、(ゆすぶって)寝るな。ほら忘れたか。
ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤだろう、忘れたか。
オイノリさんが言ってたんだろう。苦しいときには祈るんだって。
ハレルヤ、ほら、ハレルヤだ。ハレルヤ、ハレルヤ、ほら!
コポポ:
おじさん、アーメンわすれてるよ。
アダモ:
ああ、そうだった。そうそう、ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、アーメンだ。
コポポ、いっしょに祈ろう。
二人:
ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、アーメン。
<突然、雪の中から何かが現れました>

グぁー!
アダモ:
うわ!出たっ,お化け!
もうだめだ!お助けください、どうか命だけはご勘弁を。
ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ
クーちゃん:
おどかしてごめんな。だいじょうぶ、食べやしないよ。もう食べ物は十分あるから。
アダモ:
はあ?
<やさしそうなウサギさん>

ウーちゃん:
クーちゃんはやさしいクマさんだから、こわがらなくていいよ。
私は
クーちゃんの友達のウーちゃん。
いっしょにクーちゃんのうちへ来てあったまりなよ。

コポポ:
おじさん、お化けじゃないよ。クマさんとウサギさんだよ。助かったんだよ。よかったね。もう大丈夫だよ。
アダモ:
こんなところで、まさか助けてもらえるとは、こりゃ全くありがたい。
ハレルヤ、ハレルヤ!ハレルヤ、アーメン!
クーちゃん:
今夜は大雪になるべさ。おらの穴で一晩とまってけや。
ウーちゃん:
それがいい。みんないっしょに、今夜は過ごしましょう。
アダモ:
よかったなコポポ。
コポポ:
うん。
<クーちゃんのねぐらってあったかそうですね>

<クーちゃんのねぐらです。母親を探してユリーカ村へ向かうのだと聞かされ>

ウーちゃん:
クーちゃん、ユリーカ村の犬さんのうわさ、知ってるでしょ。
もしかして・・
クーちゃん:
うん、そうそう。詳しいことはわからないけどな。
村を救ったとかいう話を聞いたよ。

アダモ:
ユリーカ村を救ったって?
一匹の犬がユリーカ村を救ったのか?
そりゃあポポさんかもしれんな?
クーちゃん:
あの村は災難続きだった。
なぜか今年はひどいききんでな、食いものにも困るほどだったそうだ。
そうしたら、はやり病が夏ごろから広がってな。
もうあの村には近づくなってみんな言ってた。
ウーちゃん:
それなのにどこからか一匹の犬さんが現れたそうなの。
クーちゃん:
そうなんだ。そしたら病気がピタッとおさまったちゅうんだな。その犬さんが、神さまにお祈りしてくれたんだとよ。おかげで、ムラは助かったそうだ。
それまではやっていた病気がウソのように消えたんだよ。
ウーちゃん:
だから、村のみんな、その犬さんのことを「おすくいさん」って呼んでるのよ。
アダモ:
おすくいさん?

コポポ:
アダモおじさん、行ってみようよ、そのユリーカ村ってとこ。
お救いさんって、お母さんかもしれないんでしょ?。
アダモ:
まだお前のお母さんとは決まってはおらんが・・。
行って確かめなきゃならんな。
コポポ:
うん、確かめよう。違っててもがっかりしないよ。
アダモ:
ここまで来たんだもんな。雪が止んだら早速行ってみよう。
コポポ:
早速行ってみよう。
アダモ:
こいつ、まねすんな。
コポポ:
アダモ、まねすんな。ハハ、ハハハハ・・
<外の雪はやんだのでしょうか?山は静かになりました>

<ユリーカ村に入るアダモとコポポ>
ーお待ちください。

ミーコ:
私たちは、ユリーカ村のものですが、この先は村で行き止まりです。
どこへ行かれるのかわかりませんが、その先は道がないのです。
コポポ:
そのユリーカっていう村に行くんだよ、ボクたち。ねえ、アダモ。

ミーコ:
おやっ!アダモさんではないですか。特命を与えられて村を出たきり行方不明になっていたアダモさん!!
アダモ:
いや、その・・オレは・・
コポポ:
アダモはこの人たち知ってるの? どういうこと? 特命って何?!
ミーコ:
やっぱりアダモさんでしたか。長老たちがカンカンですよ。あなたのこともつれて来いと言われているんです。
アダモ:
もしや、あんたらがポポさんを連れ戻したのか?
ミーコ:村の緊急事態ですからね。無理を言っておいで願いました。
コポポ:
ボクのお母さん,こっちに来てるの?!
ミーコ:
お母さん? ポポさんが? つまり、あなたはポポさんのお子さん?
アダモ:
コポポ、黙っててすまん。詳しいことは後だ。とにかくポポさんに会いに行こう。
ミーコ:
その前にちょっと失礼。(コポポの胸のあたりをかぐ)フン、フン
(こんどは後ろに回っておしりのあたりをかぐ)フン、フン
コポポ:
イヤーン!
アダモ:
おい、どこ嗅いでるんだ?
ミーコ:
失礼、確かに。ポポさんと同じ匂い、まちがいありませんね。
アダモ:
ああ、間違いなしだ、正真正銘の親子なんだから。
よかったな、コポポ、やっと会えるぞ。
ミーコ:
では、ババ様のところへご案内しましょう。
アダモ:
ええッ!!あのネコ婆さんだろ。あんまり会いたくねえなあ、オレ!
コポポ:
ババ様ってだれ?
アダモ:
長老のトップだ。怖いんだぞ。オレに特命を言いつけたのがその婆さんだ。
コポポ:
だから、その特命って何なのさ?アダモ!
ミーコ:
さあ、まいりましょう。
コポポ:
アダモ、特命って・・・
アダモ:
わかったわかった、婆さんのところへ行けば分かるこった。それまで待ってくれ。
コポポ:
そうなの?ほんと?じゃあ分かった、待ってる。早くババ様に会いに行こう。
お母さん、びっくりするだろな、アダモ?
アダモ:
ああ。
だけど、あの婆さん、怖いんだよなあ・・
ミーコ:
・・
<コポポはお母さんに会えるので、もう、うれしくってたまりません。>

<やぐらの前にて>
猫バー:
(コポポに)わしが猫バーじゃ。断っておくが、ババネコでも、ネコババでもないからな。
アダモ:
猫ばあさん、お元気そうで何よりです。

猫バー:
ネコばあさんじゃないぞ、猫バーじゃ。
アダモ、村を出たままどこをほっつきまわっていたのじゃ。わしはお前にポポを連れ戻せといったはずじゃ。
コポポ:
えっー?!そうなの、アダモ。ずっと一緒だったけど一言もそんなこと話さなかったよね。
そうか!それが特命だったんだね!
アダモ:
お前たち親子を見ているとなかなか連れ戻す気になれなかったんだ。
猫バー:
おかげで村は災難続きだ!
コポポ:
それって、お母さんのせいなの?!
猫バー:
ポポはこの村の守り神に使える一族の巫女じゃ。その巫女が村を飛び出した。しかもその時、子を身ごもっていたそうな。
コポポ:
ボクのことかな?コポポって呼んで。
猫バー:
コポポちゃんか。かわいい名前じゃのう。
コポポちゃん、神様の怒りがこの村に降りかかったのじゃ。日照り続きの大飢饉、そしてついには疫病が広がっておった。
アダモ、お前がぐずぐずしておった責任は重いぞ。お前のようなものを選んだわしもバカだったが。
コポポ:
それで、お母さんはどこ?この村にいるんでしょ?
猫バー:
ああ、そうじゃったの。ポポは、・・ コポポちゃん、あんたのお母さんは・・
コポポ:
猫バー、お母さんを呼んできてよ。
猫バー:
「お救いさん」はのう・・
コポポ:
えっ?!お救いさん? それってお母さんのことなんでしょ?村を救った犬さんだって。山のウーちゃんとクーちゃんが言ってたんだ、ねえアダモ?
猫バー:
そう、そうなんじゃが・・言いづらいがのう、つまり、ポポは今、村のお救いさんになりんしてのう・・。村を救ってくれてからのう。
アダモ:
じれったいな、で、どこにいるんです。
呼んできてもらえませんかね?親子の対面ってのを、ぜひ、お願いしたいんですがね。
猫バー:
それがナ・・
アダモ:
それがなあって、まさかどっか行っちゃったんじゃないでしょね?
猫バー:
それがな・・そのまさかなんじゃ。
コポポ:
ええっー!
アダモ:
でもお救いさんとか言って。いるんじゃないんですか?
ダメですよ、隠したって。
コポポ:
ほんとのことを教えて、猫バー。
猫バー:
分かったよ、コポポちゃん。そうじゃ、お救いさんとは、お前さんのお母さんのことじゃ。村ではお救いさんを神様のお使いとして大事にまつっている。
アダモ:
待てよ、まつっているって、神様じゃねえんだからな。じゃ、ポポさんは、いったい、今どこにいるんです?
猫バー:
あっちじゃ。(やぐらの先の空をさす)

コポポ:
あっちって、あのてっぺんの?空しか見えないけど、猫バーさん。
猫バー:
そうじゃ。空じゃ。
コポポ:
えーっ!?
アダモ:
まさか、死んじゃって…
猫バー:
死んではおらん。生きとるが、・・・
アダモ:
空の上じゃ天国ってことでしょ!
そりゃ死んじゃったってことでしょうよ。
猫バー:
死んではおらんのじゃ。
アダモ:
もうわけわからんですよ。いったいどういうことなんですか!?
<コポポはもう大声で泣きだしました?>
ーうええーっん、うええーっん、うええーっん ・・・
-----
猫バー:
アダモが帰ってこず、わしは待ちきれなくなって、若ネコ団にポポを探させたのじゃ。
ありがたや。ポポは話を聞くやすぐに来てくれた。そう、まだ小さな子がいたというのにな。
コポポちゃん、あんたのことじゃな。
かわいそうなことをしたが、仕方がなかったのじゃ。怨んどるじゃろな?

ポポさんは、途中何も食べず、一睡もせずこの村に駆けつけてくれての。そして、わしらの頼みを聞くと迷わず一気にこのやぐらを上った。

アダモ:
えっ!このやぐらを!?
コポポ:
お母さんが!?
猫バー:
そうじゃ、お母さんはお救いいぬの仕事をちゃんと心得ておってな。
わしらは下で、しきたりにしたがって、火をつけたのじゃ。
アダモ:
火をつけたって!?
猫バー:
お救いさんがやぐらに駆け上がった後、山積みしたたきぎを燃やすのじゃ。
コポポ:
そんなことしたら、焼け死んじゃうよ。
猫バー:
そうではない。お救いさんは、迷わず、天をめざすことができるのじゃ。それでこそ、神様に会えるのじゃ。
アダモ:
そりゃア・・ひどい、あんまりだ。
コポポ:
そうだよ、かわいそうだよ。
猫バー:
そうしなかったら、村は救われんのよ。
アダモ:
なんだ、おとなしく聞いてれば、あんたら、村を助けにやってきたポポさんを、いけにえにしちゃったってことだよな。なんてことだ。
ヒト殺し、いや、イヌ殺しの猫ババアめ。
猫バー:
いや、ちがう!アダモ、コポポちゃん、信じておくれ。殺してはおらん。
確かにポポは天に上ったのじゃ。そして、神様にこの村をすくうようにたのんでくれたのじゃ。
おかげで村は助かった。ポポは生きておるのだよ。
それは間違いない。
そうじゃ、これをポポから預かっておる。
<小さな鈴をコポポに渡す>
コポポ:
<振ってみる。リンリン、リンリン。リンリン、リンリン>
これは、お母さんがつけていた鈴!私の体をなめてくれた時、いっしょに走った時、いつも鳴っていた音。なつかしい!
猫バー:
そうじゃ。これをあんたに渡してほしいってのう。
そう言って、上っていったんじゃ。
コポポちゃんが鳴らす鈴の音を、天にいるポポさんも今、聞いているぞ。
コポポ:
猫バー、ほんとに、ほんとにお母さん生きているんだね、猫バー。
アダモ、会いたいよ。コポポはお母さんのところへ行きたい。
アダモ:
行くったって・・!?おまえ、ポポさんは、天にいるんだ?どうやって行くんだよ?!おまえ、天っちゅうのは死んだもんが行くとこだぞ。コポポ!おまえ、死ぬ気か?!
<さてさて、アダモおじさん、困っちゃいましたね>

<泣きじゃくるコポポを前に、困ってしまうアダモです>
猫バー:
コポポちゃん、そんなら行ってみるかい?
アダモ:
なんだとネコ婆!行けるわけねえだろ!コポポっ!ポポのところへ行くってことは、死ぬってことなんだ。

猫バー:
いや、いや、そうではないのだアダモ。
アダモ:
いいや、だまされませんぞ。オレたちが上った後で、また、火をつけるに決まってらあ。
猫バー:
そりゃ、そうしないと天へはいけませんから、つけますよ。
アダモ:
ほらな、聞いたかコポポ。こいつら、オレたちのことも丸焼きにするつもりなんだよ。それで、証拠隠滅だ。村は安泰だ。そうだろ、猫バー!
こんなインチキバーさんに、だまされてたまるかってんだ。
猫バー:
インチキだと?! たわけたことを。インチキというならアダモ、それはおまえさんのことだよ。今ここであんたの秘密をコポポさんに暴露してもよいかな、アダモ。
コポポ:
秘密ってなあに。まだ秘密があるの、アダモ?知りたい知りたい!アダモの秘密!
アダモ:
お前、急に元気になりやがって。猫バー、オレの秘密だと?
そんなのこわくはねーや。もう特命の話はなしだよ、婆さん。
猫バー:
ああ、そんなんじゃあない。なぜおまえさんに特命を与えたか、分かっているのか?

コポポ:
アダモ、なぜなの?知りたい、知りたい!
アダモ:
えっ、なぜか?そりゃあ・・・
猫バー:
そうそう、そうだよ。お前さんが、実はコポポちゃんの・・
アダモ,ちょいと耳を貸してごらん。コチョコチョコチョ
(アダモの耳に何かささやきました)
アダモ:
えっー!!おいおい、何言いだすかと思ったら、・・わかったぞ、くそばばあ!!はったりかませやがって、あーあ、あぶねえ、あぶねえ。うっかり引っかかるとこだったぜ。
猫バー:
それ見ろ!今の反応が何よりの証拠じゃ!
アダモ:
えっ!!なんでよ?!「引っかかりそうだった」って言っただけだよな?「引っかかる」ってことは・・・あーっ、そうか!まんまと引っかかった。こんな古い手に引っかかるとは・・クソっ、クソクソクソクソッ!オレの馬鹿、アホ!とんま!よくもはめやがったな、ひでえババアだ!きたねえぞ!
猫バー:
なに?ババアだと?
アダモ:
いや、猫バーさん、猫おばあさん、いや、猫おばあさま。なんで、どうしてそのこと知ってるの?ですか?
猫バー:
そのくらい分からんでどうする。わしが何年生きてると思っとる?村のことで知らんことは何一つない!わしをインチキ呼ばわりするなど百年早いわ!
アダモ:
ひゃっ、百年?!わ、わかりました。わかりましたよ。インチキだなんてもう言いません。口がさけても言いません!
コポポ:知りたい、知りたい!アダモの秘密。おせーて、おせーて猫バー。
アダモ:
かんべんしろよ、コポポ。
コポポ:
おせーて、おせーて、おせーて、猫バー。
アダモ:
いい加減にしろ、コポポ!頼むから~コポポちゃん。
猫バー:
まあ、わかってもらえばいいんじゃ。子ぽぽちゃん、あとでわかるじゃろ。秘密はそれまでの楽しみにしておきなされ。
コポポ:
なーんだ、つまんないの。
アダモ:
ありがたい、猫バーさん。感謝感激!
猫バー:
猫バーだ、っちゅうの。
コポポ:
じゃあ、行くんだね、お母さんのところへ?
アダモ:
おめえが、どうしてもっていうんならな
コポポ:
うん、!
アダモ:
途中で、やっぱりやめた、なんて言うなよ?
コポポ:
言わない、言わない、絶対言わない。
アダモ:
ほんとうだな?
コポポ:
ほんとう。嘘じゃないよ、アダモ。
猫バー:
行くしかないようじゃな、アダモ。
アダモ:
・・もし、失敗したら、二人とも焼け死んでしまうぞ。
コポポ:
うん、いいよ、死んでもいい、死んでも会いたい。
アダモ:
よーし、よく言った。その覚悟があれば、いけるかもしんねえ。
おじさん、お前につきあうぞ。死ぬときはいっしょだ。
猫バー:
コポポちゃんよりアダモの方が心配じゃ・・・
<とうとう決心をしましたね。でも、猫バーって本当のところ、何年生きてるんでしょうか?百年?2百年?それとも・・・>

アダモ:
あわてるな。しっかりつかめ。足を踏み外すなよ。おまえ、いいな、足が長くて、・・
コポポ:
おじさん、早く、ほら、もう村が見渡せるよ。
あ、おじさん、下の柴に火がついたよ!
アダモ:
あっ、はえーな。もうつけやがった。
急げコポポ、ゆっくりしちゃいらんねえぞ。二人ともまる焼けなんてたまらんからな。

アダモ:
ゴホン、ゴホン。こりゃきつい。熱いし、けむいし。もうダメかもしんねえ、オレ。
コポポ:
アダモ、しっかりして!!
声:
アダモ・・アダモ・・、あきらめるな。あの時の勇気を思い出せ。あの時のことを忘れたか。
アダモ:
あの時って?
声:
忘れたか、お前を助けてやったろう。
アダモ:
助けた?何のことだ?
声:
お前はまだチビ犬だったな。チビのくせにあの夜、私を登ってきた。誰にも見つからないように、日が暮れるのを待って登ってきたろう。
アダモ:
おいっ!おまえは誰だ?!オレがチビの時だって?!お前を登った?どこに上ったって?!いったい何の話だ?!まったくちんぷんかんぷんだ・・・
えっ?!おまえ、・・・まさか・・・いや、そんな馬鹿な・・・
声:
思い出したか。お前はあの時死のうとしたんじゃなかったか?
アダモ:
分かったぞ!おまえは火の見やぐら、だな?
あの頃、オレはこの村に捨てられてきて、みんなには邪魔にされ、馬鹿にされ、いっそ死んだほうがいいと思ったんだ。
声:
ちびのくせに俺のてっぺんまで登ってきたな。
アダモ:
やっぱりそうか。これで謎が解けたぞ。火の見、何度か落ちそうになった時、吹いてきた風が
オレの体を引っ張りあげたんだ。あれはお前の仕業だったんだな?
声:
じっとして見てられなかったよ。
それに死ぬにはまだ若すぎるだろ?教えたかったんだよ。
アダモ:
なにを?!
声:
この世界が喜びに満ちているってことをさ。
アダモ:
冗談言っちゃいけねえ!!この世はつらいことばっかりだぜ、火の見。
声:
ああ、そうだ。だが頭を180度回転させてごらん。
この世界に生きているってこと、たとえ明日の命がわからなくても、いま、この瞬間、生きている、って感じられるかどうかだ。死ぬのは案外簡単なんだ。だが死んだらそこでこの世界もなくなってしまうだろ。
今生きている。全身で感じるんだよ。それだけでわくわくできるんだよ。見るもの聞くもの、自分の周りの世界すべてが新鮮で、愛しくなってくるよ。
アダモ:
いい話だが、火の見、おまえ、案外おしゃべりだな。学校の先生みたいだぜ。
確かに、今は生きている。だけどこの熱さは愛しくねえよ。
とりあえず礼は言っておくぜ、火の見。ありがとよ。どうしてあんなチビ助のオレが、てっぺんまで登れたのか、ずっと不思議だったんだ。そうだ、てっぺんで見た星空を今も忘れないぜ。オレはあの時、生きようって決心したんだ。本当にありがとうよ、火の見。
ゆっくり昔話と行きてえところだが、そんな場合じゃないんだ。生きるか死ぬかってとこだからな。火の見、ついでにって言っちゃなんだが、今のオレも助けてくんない?コポポを母親に合わせたいんだよ、火の見。たのむよ。
声:
ああ、もちろんだよ、喜んでアダモ。
コポポ:
アダモ、もうすぐてっぺんだよ、がんばろう!
アダモ:
けつが熱くて、燃えてるみたいだ。パンツはいておきゃよかったぜ。
あ、ちち、あっ、ちちちち、あっちちちち・・
コポポ:
おじさん、おじさん!ほら、忘れちゃだめだよ。苦しいときは、あれ!ハレルヤ!
アダモ:
あ、そうか!ハレルヤ、だったな!?わすれるもんか。
ハレルヤ、ハレルヤ、あちち、ハレルヤ、ハレルヤ、アーメンだ!くそっ!
ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ、アーメン!ああ、神様、お助けを!
ーハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ、アーメン。
コポポ:
うわあー!
アダモ:
なんだ、なんだ、どうした?どうなってんだ?うわあー!



アダモ:
おいっ、コポポ、ありゃー何だ!?

コポポ:
あれって? ああ、あの、ひつじみたいな雲?

アダモ:
コポポ、ほら、上を見ろ!青空だ。
コポポ:
ほんとうだ。明るいね!
アダモ:
なんだか気持ちいいな。フワフワしてるぞ。
コポポ:
ほんとうだ、浮いてるみたいだ。とんでるのかな。
それとも、・・
アダモ:
死んじゃったかだ?・・くそ!縁起でもねえ!
<苦しそうでしたね。でも、火の見さんのおかげで助かりました。>

ポポ:
いらっしゃい、コポポ。よく来ましたね。
あなたなら、きっと来れると思ってました。
アダモ、ありがとう。コポポを助けてくれて。
もう立派なお父さんね。
コポポ:
ええーっ!な、なにっ?!それっ、どういうこと?!
アダモ:
いや、コポポ、実は、そのー・・そーゆーこと。
コポポ:
そーゆーことって・・・そんなー・・あーあっ!!猫バーが言ってた秘密って、このことだったの?!
アダモ:
おまえ、がっかりしてる?おれがオヤジじゃ、ダメか? いやだよな、当然だ。オレなんかじゃな。
<複雑・・>
コポポ:
そんなことない、うれしいよ? お父さんって呼んでいい?
<こっちも複雑>
アダモ:
呼んでもいいけど・・ほんとかなあ・・・無理してんじゃねえの?

ポポ:
さあ、コポポ、おいで、お母さんに抱きしめさせてちょうだい。ずっと待ってたんだから。
コポポ:
うん、お母さーん! ボクも会いたかったよー、うえーーん!

コポポ:
おはよう。
アダモ:
おはよう、起きたか。お前、泣いてたぞ。お母さんの夢でも見たか。
コポポ:
うん、やっと会えた。抱きしめられちゃったよ。
アダモ:
そうか、そりゃあ、よかった。
コポポ:
おじさん、・・ひょっとして、ぼくのお父さんなの?
アダモ:
えっ!いや、まさか!それは・・そんなわけねえだろ。
コポポ:
そうだよね。よかった。
アダモ:
よかったって、そりゃ、どういう意味よ。
コポポ:
ぼく、もうお母さん探さなくていいんだ。
いつでも、会いたいときは夢の中で会えるってわかったよ。
アダモ:
そりゃあすごいな!確かにオレ達、半分は夢の世界にいるわけだし。
コポポ:
そうなんだよね。でね。お母さんが言ってた。
「お前の道を歩みなさい」って。
アダモ、「ボクの道」って、どんなかな?
アダモ:
そうだな・・・これから歩いていくんだ。歩きながら考えりゃあいいんじゃねえのか?楽しく、思いっきり自由にな。
世界は喜びで満ちてるって言ってたな。
コポポ:
いい言葉だね。誰が言ってたの?
アダモ:
ええーっと、誰だっけなあ?
コポポ:
なーんだ、アダモじゃないのか。だけど、それっておじさんみたいだね。
アダモ:
オレが?そうかあ?そうかなあ?なるほど・・そうかもな?ハハハハハ

コポポ:
おじさん,思い出したよアレ!
アダモ:
ん、アレって、なんだ?
コポポ:
ハレルヤ、ハレルヤ!ハレルヤ、ハレルヤ、だよ。

アダモ:
(笑って)そうか。そうだな、ハレルヤ、ハレルヤだ。
ーハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ、アーメン

